■ボーダフォンの買収により、
ソフトバンクは配下の企業のブランド統一を企図しているようだ。配下にはPCのポータルサイト(ヤフー)・PCのブロードバンド通信(ヤフーBB)、固定電話(日本テレコム)があり、コンテンツも含めた総合通信企業としての特色を全面的に打ち出すようだ。(ヤフーについてはソフトバンクが約40%、アメリカのヤフー本社が33%の株主を保有しており、ソフトバンク・グループ内では別格だろう)
■新しいブランドの名称はグループ名でもある「ソフトバンク」をコアとなるキーワードに据えるようだ。元々ソフトバンクの新規ケータイ会社は「BBモバイル」となる予定だったが、「ソフトバンク・モバイル」などの名称になりそうだ。勿論、マーケティング的な「語呂の良さ」などの問題があるので、正式決定までどうなるかは判らないところだ。
■これらのブランド統一はケータイのナンバーポータビリティー導入のタイミングを目標とする。また、ソフトバンク・ブランドのサービスを利用する時にまとめて契約できるようなアカウントを検討している模様。ヤフーあるいはヤフーBBのアカウントが一つになるようなイメージか?まとめて契約することで割引など検討しているようだ。
■企業戦略としては概ね以下の3点がポイントだろう。
(1)ブランド統一によるシナジー効果
(2)複合サービスによる顧客の利便性向上
(3)スケールメリットを活かした割引
一昔前に流行った「顧客囲い込み」という競争戦略を思い出す。Googleを代表とする新興のネット企業が、マイクロソフトのような支配者を目指さず、「邪魔にならない」というマインドを持つ企業のそれとは対照的だ。顧客囲い込み戦略により勝者となった暁には、当然マーケットを支配する立場を目指すだろう。競争的戦略での最大のポイントは、顧客も含むそのビジネスに関わる”参加者”全てにメリットが公平にあることだ。「50:50の法則(フィフティー・フィフティーの法則)」という古い原則がある。案外、今の時代も変わらぬ定理かも知れない。ソフトバンクがより支配的なポジションになることが、消費者にとってメリットが多いのかデメリットが多いことなのかは、今後マーケットが判断して行くことになる。
■先日も書いた通り、
アメリカではMSNとヤフーが提携を模索している。WEB2.0という新しいインターネットの波に抗う(あらがう)かのようなWEB1.0の代表連合の提携だ。また、古く遡れば日本の企業は「系列」という不効率な連携により、競争力を損なっていた時代があった。こういったインターネット世界の目まぐるしい変化と、統合されることによる思わぬデメリットをどう払拭していけるかソフトバンクに注目したい。